臨床研究について

臨床研究の用語集

臨床研究に関わる全ての人が、その試験の意義および実施手順を理解し、試験実施において遵守するべき事項を記載した計画書。研究の実施や内容の変更に先立ち、作成や改訂と、審査委員会の承認が必須である。
 
インフォームド・コンセントに際して説明のために用いられる文書。治験(医薬品GCP省令第50条)、臨床研究法上の臨床研究(施行規則第47条)、指針上の侵襲を伴う研究(指針第8)において、使用が必須である。
 
被験者の試験治療経過の情報(検査データ、服薬記録、有害事象等)を報告するためのフォーム。
 
臨床研究の実施体制を再現・説明し、研究の実施及び得られたデータの質の評価を可能にする文書。(試験実施研究計画書、同意説明文書、手順書、契約書等)
 
CRF(症例報告書)作成の元となる、臨床研究の事実経過の再現と評価に必要な記録。(診療録、検査・画像データ、治験薬等の投与記録、被験者の日誌等)
 
医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性または安全性を明らかにする研究。
 
医薬品(体外診断用医薬品を除く)、医療機器、再生医療等製品のこと。
 
臨床研究法において、下記のいずれかに該当する臨床研究。
  • ・薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究
  • ・製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究
人を対象とした研究において、研究対象者の権利保護と尊厳保証を目的として、研究の実施又は継続の適否・その他必要な事項に関し、倫理的及び科学的な観点から審議する機関。
 
個人的・組織的な利害を考慮することにより、専門家として行う判断に妥協もしくは偏向が生じ、またその客観性が失われる可能性のある状況。
企業治験または医師主導治験、製造販売後臨床試験において遵守すべき法律。治験が倫理的な配慮のもとに科学的で適正に実施されるための基準が示されている。
 
臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めることにより、臨床研究の対象者をはじめとする国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じてその実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的とする法律。
 
臨床研究(疫学研究、観察研究等)、臨床試験(侵襲・介入を伴う研究)において遵守すべき指針。人を対象とする生命科学・医学系研究の形態の多様性に配慮し、基本的な原則を示す内容となっている。
 
研究参加によって被験者に発生した健康被害に対する補償責任及び賠償責任をカバーする保険。侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴い、通常の診療を超える医療行為を伴う研究を実施する場合、研究対象者に生じた健康被害に対する補償を行うための措置を講じる必要があり、研究開始前に臨床研究保険に加入しておくことが推奨される。  
研究の主要な目的とする評価項目。仮説を検証する上で薬理学的、臨床的に意味があり、客観的評価可能な項目が用いられる。プライマリーエンドポイントとも呼ばれる。
 
研究の主要な評価項目以外の効果を評価するための項目。研究の目的から、重要度においてプライマリーエンドポイントの次に位置し、セカンダリーエンドポイントとも呼ばれる。
副次評価項目
そのデータが主要な解析に用いられる被験者で構成される集団。
解析対象集団
症例データの品質を確保し、管理する業務。データが入力規則に沿った形式で入力されているか、必要なデータが揃っているか、正しい値が入力されているか等の確認を実施する。
 
臨床研究が法や指針及び、研究計画書や・手順書等に従って実施、記録、報告され、記録が適切に保存されているかを確認し、研究が適正に行われるよう改善につなげるための活動。
 
臨床研究が法や指針及び、研究計画書や・手順書等に従って実施、記録、報告されていたかを客観的な立場から評価を行い、研究結果の信頼性を確保するための業務。監査担当者は、監査対象の研究に携わる者及びモニタリング担当者以外の者とする。
 
CRFで収集する項目を直接コンピューター上で入力し、データ収集、管理を一括して行うことができるシステム 。
 
指針やGCP省令において、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病もしくはその徴候(臨床検査値の異常を含む)であり、実施された研究との因果関係の有無を問わず、あらゆる出来事を含む。発生した事象については迅速な報告、詳細な情報収集の継続が重要であり、研究参加者間で安全性情報として共有される必要がある。なお、副作用とは定義が異なる。臨床研究法においては疾病等という別の概念が当てられている。
有害事象
臨床研究法において、疾病、障害もしくは死亡又は感染症に加え、臨床検査値の異常や諸症状のこと。特定臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等は、臨床研究法において対応が必要となる。
 
研究対象疾患以外に、研究参加時点で併存している疾患。診療では、①ある疾患が原因となって起こる別の疾患(例:糖尿病に併発する腎症)、②検査や手術による治療に伴って生じる疾患や症状(例:腹部手術後に続発するイレウス)を指すことがあり、使用される場面で定義が異なるため注意が必要である。
 
研究計画書(治験実施計画書)に違反した事象、または違反すること。
 
臨床研究が臨床研究法又は研究計画書に適合していない状態や、研究データの改ざん、ねつ造等を「不適合」といい、そのうち、研究対象者の人権や安全性及び研究の進捗や結果の信頼性に影響を及ぼすものを「重大な不適合」という。不適合の発生については実施医療機関の管理者に報告する必要があり、重大な不適合は加えて認定臨床研究審査委員会への報告が必要である。
 
治験及び臨床研究の被験者となる方の人権を尊重し、倫理性と科学性の側面を両立しながら、医療機関内で安全に円滑な研究実施に向けたコーディネートを行う者。研究倫理に関するトレーニングを履修し、研究計画書を守り、研究責任医師等の指示・監督の下に専任として治験及び臨床研究の多岐にわたる業務をサポートする。具体的には被験者の意思決定プロセスの支援、実施中の相談窓口対応などを行う。
 
治験及び臨床研究依頼者(製薬企業または自ら治験及び臨床研究を実施しようとする者)からの依頼を受け、治験及び臨床研究に関わる業務の一部を代行・支援する企業。治験及び臨床研究のモニタリングや監査、収集データに対するデータマネジメントや統計解析、行政当局への提出書類の作成や申請手続きなど、幅広い業務を行う。
 
治験及び臨床研究の実施において、研究者が円滑に研究を進めるための支援を行うための組織で、大学・研究機関が設立する。治験及び臨床研究の実施・モニタリング・データマネジメント・統計解析などの支援をする他、アカデミアとしてシーズから新しい医療の開発を推進するための基盤の構築・整備や、研究者の支援・教育などを行う。
 
実施医療機関において、治験及び臨床研究に関わる業務の一部を代行・支援する企業。実施医療機関へCRCを派遣し、その医療機関が携わる治験及び臨床研究の事務手続等の代行や、治験及び臨床研究を担当する医師や看護師等の業務の支援を行う。
 
研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、患者の身体または精神に障害または負担が生じること。倫理指針において定義されている。
 
侵襲のうち、患者の身体及び精神に生じる障害および負担が小さいもの。倫理指針において定義されている。例として、一般健康診断で行われる採血や胸部単純X線撮影と同程度の行為。
 
(臨床研究法において)臨床研究を実施する者をいい、実施医療機関において臨床研究に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
 
(人を対象とする生命科学・医学的系研究に関する倫理指針において)研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。
 
(臨床研究法において)多施設共同研究を実施する場合に、複数の実施医療機関の研究責任医師を代表する研究責任医師をいう。
 
(人を対象とする生命科学・医学的系研究に関する倫理指針において)多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する研究責任者をいう。
患者またはその代諾者等が、実施または継続されようとする研究に関して、その研究の目的、意義、方法、患者に生じる負担、予測される結果(リスクおよび利益を含む)等について十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて与える、当該研究を実施または継続されることに関する同意をいう。
 
インフォームド・コンセントを与える能力がないと客観的に判断される患者が、実施または継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施または継続されることの決定を理解し、賛意を表することをいう。
 
インフォームド・コンセントを与える能力がないと客観的に判断される対象者の代わりに、研究参加への同意を行う者。倫理指針においては選定方針を研究計画書に掲げることになっている。臨床研究法・GCP省令においては、対象者(被験者)の配偶者、親権を行う者、後見人その他これらに準ずる者と指定されている。
 
個人に関する情報であって、いかにいずれかに該当するものを指す。
  1. 情報単体で特定の個人を識別することができるもの(本人の氏名、顔画像等)
  2. 情報単体で特定の個人を識別することはできないが他の情報と照合することで特定の個人を識別することができるもの
  3. 個人識別符号が含まれるもの
当該情報単体から特定の個人を識別することができるものとして定められた文字、番号、記号その他の符号。(DNA塩基配列、手のひらの静脈の形状、指紋、旅券番号、運転免許証番号等)

 ※詳細な定義は、こちらをご参照ください。
  ・個人情報の保護に関する法律施行令(平成15 年政令第507 号)、
  ・個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)等を参照。

特定の個人を識別することができる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を削除する、もしくは当該個人と関わりのない記述等に置き換えることにより、特定の個人を識別することができないようにすること。
 
匿名化された情報から、必要な場合に研究対象者を識別することができるよう、当該研究対象者と匿名化の際に置き換えられた記述等とを照合することができるようにする表その他これに類するもの。