■臨床研究法が求める補償措置
臨床研究法では、「研究責任医師は、臨床研究を実施するに当たっては、あらかじめ、当該臨床研究の実施に伴い生じた健康被害の補償及び医療の提要のために、保険への加入、医療を提供する体制の確保その他の必要な措置を講じておかなければならない」(臨床研究法施行規則第20条)とされており、これについて関係通知の中で、原則として適切な保険に加入することとされています。
これを受けて、当院では、特定臨床研究を実施するにあたって、原則臨床研究保険に加入することを義務とします。
※法施行前から継続して実施している特定臨床研究で臨床研究保険に未加入のものについては、新たに保険に加入することは不要とされています。
■臨床研究法保険の新たな商品形態
臨床研究保険における補償の内容は大きく「医療費」「医療手当」「補償金」の3つに分けられます。
医療費 |
健康保険等からの給付を除いた研究対象者の自己負担額を補償する |
医療手当 |
入院を必要とするような健康被害にあっては、病院往復の交通費や入院に伴う諸費用を賄う趣旨で、一定の医療手当を支払う |
補償金 |
臨床研究に起因する健康被害により死亡した場合または障害が残った場合は、一定の基準により、補償金を支払う |
従来の臨床研究保険の商品では、上記のうち「補償金」についての商品しかなく、がんに関する臨床研究などは他の臨床研究と比して健康被害の発生確率が高いという理由等により、保険料が極めて高額になる、もしくは保険引受不可ということもありました。
臨床研究法において臨床研究保険への加入を原則義務化されるにあたり、補償金型の保険が適用できない場合であっても、医療費・医療手当の保険への加入により何らかの補償が可能になるよう、医療費・医療手当の保険商品が新しく導入されています。
そのため、臨床研究法における臨床研究保険への加入については、「第一の選択として補償金型の保険に、第二の選択として医療費・医療手当型の保険に加入することが望ましい」(臨床研究法の施行等に関するQ&A(その1)より)とされています。
■加入できる臨床研究保険
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- Chubb損害保険株式会社
上記4社が臨床研究保険を販売しています。各社とも臨床研究に起因して健康被害が発生した場合の賠償責任(医療行為を除く)と補償責任を保険金の支払い対象としており、免責や支払限度額などに細かな違いはありますが、補償範囲はほぼ同じです。保険各社によって保険料が大きく異なるケースがありますので、加入を検討する際は、4社の見積もりを比較することを推奨します。
保険料は研究責任医師の負担(研究費等での負担)となります。
なお、病院 基礎・臨床研究支援課研究管理係にご連絡いただければ、代理店を通して複数社の見積もりを一括入手することができます。加入をご検討の際は、以下までお早めにご連絡ください。
臨床研究保険に関するお問い合わせ
病院 基礎・臨床研究支援課研究管理係
e-mail:r-kenkyu*adm.niigata-u.ac.jp(*を@に変更してください)
TEL:025-368-9350
■臨床研究保険加入までの手続き
①見積もり依頼 |
見積時必要書類
●研究計画書●説明同意文書 |
▼
②加入する臨床研究保険の検討 |
通常2〜3週間程度で保険会社から見積の回答が届きます。 |
▼
③臨床研究保険加入申し込み |
加入時必要書類
●加入依頼書●申込書●研究計画書(最終版)●説明同意文書(最終版)●補償手順書(最終版) |
▼
▼
※研究開始後、研究計画書(プロトコール)の変更があった場合は、臨床研究保険の変更手続きが必要となる場合がありますので、担当係へご連絡ください。
特に、研究実施期間の変更、症例数の変更、多施設実施機関数の変更等は、保険料の追徴・返戻が発生する可能性があります。遡及して手続きをすることはできませんのでご注意ください。